簡単に、ブログに書いて整理しておこうかと。
Mark Spitznagel によるSafe Havenという本に記載されていた問題について。問題の内容は以下の通り。
サンクトペテルブルグの商人が、アムステルダムで仕入れた商品を船で運搬しサンクトペテルブルグで売って儲けようと考えている。一度の輸送で運ぶ物資の賞味価値が10,000ルーブル、この商人がそれ以外に持っている資産が3,000ルーブルとする。
この時期のバルチック海は海賊全盛期で、この航路を航海する100隻の船のうち5隻は運搬に失敗して商品を全て失うリスクが存在している。この損害に対する保険は800ルーブルである。この商人はこの保険を購入すべきだろうか?
一見すると、保険のリターンは、95%の確率で800ルーブル、5%の確率で-9,200ルーブルであるから、期待値が300ルーブルで、保険会社ばかりが儲けているように見える。当然、保険を買えばこの交易で得られる利益が目減りしてしまう。しかし、実際には保険を買うことによって、この商人はより低リスクでかつ高リターンを得ることができるのである。その仕組みは以下の通り。
ポイントは、このビジネスの成長率を上げることだ。
保険無しの場合、航海後の商人の資産は95%の確率で13,000ルーブル、5%の確率で3,000ルーブル。一方、保険有りの場合はいずれにせよ12,200ルーブルである。だから、一般的な期待値で考えると12,500ルーブルvs12,200ルーブル。故に、単発のリターンの期待値を考えれば、保険を買わない方が得である。
ここで、成長率に着目するためには、log平均を考えれば良い。log平均は、べき乗を取れば幾何平均を考えるのと同義だから、変化の比率の平均、すなわち成長率を取っていることになる。
これを使うと、保険無しの場合のlog平均は0.95ln(13,000)+0.05ln(3,000)=9.40、幾何平均で12,080ルーブルなのに 対して、保険有りの場合は幾何平均12,200(log 平均は9.41)だから保険有りの方が大きい数字になる。
さらに、もともとの商人の資産額を増やすと保険の効果が薄まって、幾何平均も逆転する。