2020年10月18日日曜日

最初の一週間

学期が始まって、最初の一週間が過ぎました。

久しぶりの、数学の問題を解き続ける日々、楽しみながらも、想定以上に忙しすぎたために、適当な日記をあげることすらままならず。週末は、少しくつろぎたいので、あえてあまり課題は見ずに過ごしています。

例年なら、課題の解説などを受けるクラスがweek3,4以降から始まることが多いので、提出がweek2か3で、week1はゆとりがあるのですが、今年は、week2に4つ、week3に1つ、(しばらく受けて1つはクラスの出るのはやめる予定ですが)あるために、課題の3つがweek1に提出期限という事態に(^^;

なんとか、終わられたので良かった(笑)来週以降、クラスも入ってくると思うと、時間的にキツそう笑


今学期は、確率系の単位は少ないこともあり、かなり力学系のコース多めで、以下をクラスも含め受講中。時間さえ取れれば、いろいろ他の講義は見たいと思っている。

Stochastic differential equations (確率微分方程式)

Probability on graphs and lattices (グラフや格子構造での確率論)

Perturbation methods(摂動)

Solid mechanics(固体力学)

Topics in Fluid mechanics(流体力学)

来週末くらいまでに、このうちの一つは、レクチャー視聴のみ、くらいに落とそうとは考えてますが。

2020年10月7日水曜日

指紋の数学

イギリスの数理物理学者、Roger penroseがノーベル賞受賞しましたね。彼は現在、オックスフォード大学の教授です。

さて、受賞内容は、ブラックホールに関する研究のようですが、もっと身近な、内容に関する論文もあります。指紋について。(指紋の研究のことをdermatoglyphicというらしい)


指紋は、基本的におよそ平行な線の組でできていて、たまに

i)半円を描いて折り返すパターン、ii)3つの線が合流するパターン

が存在する。これらの組み合わせで、複雑になっているものもある。

Dを指の数、Rをi)の数、Tをii)の数とすると、ペンローズは、

R-T=D-1

であることを証明した。

つまり、円で折り返すパターンの数から3つの線が交わるパターンの数を引くと、普通の人ならば5-1=4になると。

ちなみに、この観察自体は、彼の父が論文に発表しているそう笑

上の二つのパターンについて、中心の点を包むような円を考えて、反時計周りに円をなぞっていくとき、円上での指紋の向きを連続に定義すると、この向きがi)の場合は角度が+180度(反時計回りに円の半分)、ii)の場合は―180度(時計回りに円の半分)に変化する。

これをそれぞれ指数(index)+1、-1と置く。

手の縁に注目すると、普通に指が5本ある人の場合、ギャップが4つ存在して、それぞれで指数がー1となる。

さらに、index theoremから、指紋が定義される境界(手のひらの縁)での指数と、境界内の指数の数が一致する。故に、R-T=D-1が導かれる。

The topology of ridge systems,” Annals of Human Genetics, Vol. 42 (1979), pp. 435–444

2020年10月5日月曜日

夜11時、寒風のなか、短パン立ちこぎでオックスフォードを疾走した話

 寮の厄介な落とし穴、locking myself out(オートロックのせいで部屋に入れなくなる)をやらかしてしまった。


シャワー浴びて、涼むまで短パンをはいていたら、ふと歯磨きに部屋を出たときに鍵を持ち出し忘れ、たまに発動するオートロックに引っかかって立ち往生。

寮の玄関にたむろしていた一団に対応を聞けば、カレッジのメインサイトまで行かねばならないという。

歩けば片道30分だ。一人が見かねて、ジャケットと自転車を貸してくれた。ありがたし。

しかし、脚が長い、座席が高い。いざ乗ると、座ったままでは漕ぐのがやっと。

風は冷たく、夜目も効かぬが、立ちこぎで急ぐ他なし。

新しい鍵を作り、帰路。部屋に戻って、スウェットをはいて、とにかくこの日記を書いている。

学期開始まで1週間

最近、雨の日が続いています。先週の後半は、散歩などもなかなかできないような状況でした。今日は、朝だけ晴れ間がありましたが、15時ごろ雨が来て、キッチンがびちょびちょに・・・


漸く、あと一週間で学期が始まります。

この一週間は、fresher's weekという、新入生向けのイベントが多い週です。今年は、ほとんどのイベントがオンラインで行われるというイレギュラーはあるものの、今日歩いた時には、例年通り、各カレッジの前で子供を連れてきた親たちと思われる車の長蛇の列が出来ていました。(みんな荷物を一気に持ってくるので、大抵最初は車で来ます。普段は混まない道も一部混雑していました)


もともといる学生は、学部によっては、延期された試験が学期の頭にあったり、プロジェクトをやっていて忙しくしているみたいですが、数学科は嵐の前の静けさです。同じカレッジの数学科の人たちも、今週は特に予定なく過ごすみたい笑

いつもは日本人と食べていたラーメンを振舞ったら、喜んでくれました。みんなフォークで食べていた笑

今度は、イギリス料理など作ってくれるそう。コロナのせいで、同じフロアの人としか食事などできないルールになっているので、その中でたまにローテーションしつつ、いろんな料理を楽しめるかもしれません。


私は、とりあえず、今年は部屋が狭いので、家具の配置を変えたりして、理想の状態を探っています笑


↓カレッジのすぐ近くにある公園(university park)

天気がいいと、ほんとに気持ちよくていい場所です。


2020年10月3日土曜日

sensitivity conjecture

1年前のことらしいのですが、

chromeのフィードに関連記事がおすすめとして出てきて面白かったので、ここに共有。

30年間コンピューターサイエンティストが解けなかった問題が、とある数学者による2枚弱の論文によって証明された。というもの。

記事を読むと、どうやらそんなに難しくないらしい。ということで実際に読んでみると

学部の知識で理解できるし、流れもエレガント!これ気持ちいいだろうな、と想像笑


実際の問題というのが、sensitivity conjecture(敏感度予想)というもの。(専門用語の訳は適当)

sensitivityというのは、n次元のインプットに対するブール関数 f:{0,1}^n->{0,1}について、

x\in{0,1}^n, S\subset[n]={1,2,...,n}について、x^SをSに対応するxの要素を0と1で入れ替えたものとすると、

local sensitivity: s(f,x)=number of i such that f(x)≠f(x^i)

sensitivity: max{s(f,x): x\in{0,1}^n}

local block sensitivity: bs(f,x) = maximum number of disjoint blocks B1, B2, ...Bk\subset[n] such that f(x)≠f(x^Bi) for all i

block sensitivity: max{bs(f,x):x\in{0,1}^n}


Sensitivity conjecture: there exists an absolute constant C such that for every boolean function f, bs(f)<=s(f)^C


これを、

n次元の超立方体グラフQ^nの(2^(n-1)+1)の頂点を持ついかなるサブグラフHも、最大次数がnの平方根より大きい

ということを証明することで導いている。固有値などの基本的な議論。わずか1ページ半。しびれる。

下参考。

https://arxiv.org/pdf/1907.00847.pdf
https://arxiv.org/pdf/math/0502408.pdf

https://www.ams.org/journals/bull/2020-57-04/S0273-0979-2020-01697-6/S0273-0979-2020-01697-6.pdf


2020年10月2日金曜日

teddy mask

カレッジのマスクが届きました!
意外と厚手です笑
シンボルカラーの深紅にカレッジのロゴが大きくついてます笑


 

2020年10月1日木曜日

無理の構造

 「無理の構造」なる本をprime readingで読んだのでメモ。


人間は、身の回りのものを実際は非対称であるのに対称であると勘違いして生きていて、それが無理の原因になっている。

非対称性の例:

時間経過の非対称性、自分と他人の非対称性、部分と全体の非対称性、見えているものと見えていないものの非対称性。いろいろな不可逆性。

不可逆性といえば、かまいたちの漫才を思い出す(笑)

それぞれの非対称性には、一方向に作用している見えない力・アルゴリズムが存在している。

  • 知識は増えることはあっても減ることはない
  • 知っていることと知らないこと、無知→既知
  • 抽象化の不可逆性、一度抽象化すると固定される
  • 人間心理、水は低きに流れる
  • 組織は、個性的な人の集まりから個性のない集団へと変わっていく
  • 難しく抽象度が高いものから、やさしくわかりやすいものが必要とされる
  • ルールや質、増やすことより減らすことにコストがかかる。
  • 自分のことは特別だと思うが、他人のことは一般化する。
  • 自分の成功は実力で他人は運、失敗は・・・
  • 見えていない人には見えている人が見えない
  • 夢をかなえられなかった人の視点より、夢をかなえた人の視点が強い

この本の内容も抽象化なわけで、やはり視点が硬直するのだろう。こじつけ、思い込みになるのは注意、あるいは不可避(無理)か。

数学の世界では、対称なものってたくさんあるし大切だが、生活の中には非対称がありふれてるな。感情、意図、知識・経験とか、人間関係は非対称で複雑。