2020年10月7日水曜日

指紋の数学

イギリスの数理物理学者、Roger penroseがノーベル賞受賞しましたね。彼は現在、オックスフォード大学の教授です。

さて、受賞内容は、ブラックホールに関する研究のようですが、もっと身近な、内容に関する論文もあります。指紋について。(指紋の研究のことをdermatoglyphicというらしい)


指紋は、基本的におよそ平行な線の組でできていて、たまに

i)半円を描いて折り返すパターン、ii)3つの線が合流するパターン

が存在する。これらの組み合わせで、複雑になっているものもある。

Dを指の数、Rをi)の数、Tをii)の数とすると、ペンローズは、

R-T=D-1

であることを証明した。

つまり、円で折り返すパターンの数から3つの線が交わるパターンの数を引くと、普通の人ならば5-1=4になると。

ちなみに、この観察自体は、彼の父が論文に発表しているそう笑

上の二つのパターンについて、中心の点を包むような円を考えて、反時計周りに円をなぞっていくとき、円上での指紋の向きを連続に定義すると、この向きがi)の場合は角度が+180度(反時計回りに円の半分)、ii)の場合は―180度(時計回りに円の半分)に変化する。

これをそれぞれ指数(index)+1、-1と置く。

手の縁に注目すると、普通に指が5本ある人の場合、ギャップが4つ存在して、それぞれで指数がー1となる。

さらに、index theoremから、指紋が定義される境界(手のひらの縁)での指数と、境界内の指数の数が一致する。故に、R-T=D-1が導かれる。

The topology of ridge systems,” Annals of Human Genetics, Vol. 42 (1979), pp. 435–444

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