2020年3月9日月曜日

なぜ波は崩れるのか

海などで当たり前に目にする波(waves)について。

流体力学の方程式は、質量の保存、運動量の保存などの法則から導き出される偏微分方程式の組です。
流体の中にも、水などの非圧縮性(密度が、流れに伴っても一定)のもの、気体のように圧縮性のもの、シロップみたいに粘性が重要になってくるものなどさまざまです。

この運動に深くかかわっているのが、周期的な運動、波です。
海辺に打ち寄せる波もまた、流体力学の方程式を使って記述することが出来ます。

この波を表現する理論は、shallow water theoryという分野に当たります。
厳密には、波の波長が、水深に比べて十分に大きい波についての理論です。

この波動について、
非圧縮性(水なので)、非回転性(渦を巻いていない)、
縦(海底に対して垂直方向)の速度が横(海底と平行方向)に比べて無視できる
ということを特に仮定します。

すると、深さ=h(x,t)、波の速度の平行成分=u(x,t)について
を得ます。

ここで厄介なのが、一つ目の式の第2,3項、二つ目の式の第2項が非線形の項になっているということです。
線形の場合には、フーリエ級数、変換を用いて解くことが出来るパターンが多いですが、線形は上手くいきません。

基本的に、非線形の項が式の中に出てきたら、厄介なことが起きます。
微分方程式が成り立つための条件の一つは、当然その微分が存在することです。
なので、少なくともuやhが連続であることが必要ですが、
題名にあるように波は崩れます。
この時、速度や深さは連続ではなくなるので、当然この式が成り立ちません。

しかし、だからこの式が間違っているかというとそうでもなく、この式から、
いつ波が崩れるのか考えることが出来ます。
つまり、微分方程式が正しい解を持たなくなった時は、モデリングが壊れる瞬間であり、
何かイレギュラーなことが起きている時と考えられます。


Shallow waterの中では、水深が大きいほど、
波の速度が速くなるため右の図のように、
深く速い部分が、そのまま速く進むため、ある点を越えて
、速度uが複数の値を取るようになり、式が成り立たなくなります。
これが、波が崩れる数学的な説明です笑

ちなみに、この式が成り立たなくなるケースを扱うために非線形の偏微分方程式では
shockという概念を利用します。

右の画像は大学のlecture noteより。
https://courses.maths.ox.ac.uk/node/view_material/42094


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